3月10日
あの雪の積もった山が白羽山………
あの雪が溶ける頃には俺らは三年……
俺は
八神光輝(ヤガミコウキ)
藤城(フジシロ)中学の野球部二年。
春から三年になる俺ラは自主トレがてら白羽山目指して走ってるってわけ……
『おい!コウ!何ボーっとしてんだよ!』
って怒鳴ってるのは
村上拓哉(ムラカミタクヤ)俺とタメ…
家もチャリで数分の近所。
体格がよくてどっちかというとゴツめな感じだ…
『これじゃあコウだけ春ベンチ外だな…』
って横から茶々をいれるのは
北条晃(ホウジョウアキラ)
スラっとした細身で後ろ髪がくるっとしたパーマが特徴的なヤツ。
モチロン俺とタメ。家も近所。
小学校から一緒の俺達三人は『コウ・アキ・タク』と呼び合う仲のいい三人組。
部内では小学校の名前をとって東(アヅマ)トリオなんて呼ばれてる。
そ。東小学校ってとこを卒業したのよ。
野球部にはまだ部員がいるんだけど、それは追い追いね……
そうこうしてる内に白羽山の前の石段が見えてきた。
『よし!行くかぁ』
タクが気合いをかけた。
そうして俺達三人は無言のまま1002段あるっていう石段を登った…
足がパンパンになるほどの勢いで…
頂上から見た俺達の住んでる町、藤城町の景色は格別で最高だった。
無言のまま三人で景色を眺めてると
アキが
『俺達も春には三年だぜ?』
とつぶやく。
コウ『そうだなぁ…来年はレギュラーなりてぇなぁ』
…………そう。東トリオの中で唯一俺がベンチなんだ。
タク『俺は誰が出てもいいよ…チームが勝てるんだったらな。』
コウ『お〜い。それが幼なじみの言う言葉かよ』
タク『俺は俺の仕事をやる!勝つ為に!まぁコウも頑張れよ!』
アキが笑う。
『三人で県大会出ようぜ。』
アキが笑った後ポツリと言った一言は俺の心に響いた…
タク『じゃ、そろそろ行くか?寒いしな。』
コウ『そうだな。明後日からの練習ガンバロうぜ。』
それから俺らはまた無言のまま石段を降り家に帰った