後部座席に乗せられ、荒々しい運転に体が激しく揺れた。
どうなってるのか…状況が理解できない。
でも、何かとても危険な事に巻き込まれているようだ。
ジョージの様子も変わった。昼間とは、まるで別人のようだ。
強くつかまれた腕に痛みが残っている。
殺意さえ感じさせる言葉。恐怖に体が震えた。
…誰か…助けを呼ばないと……。
スポーツバックの横についているポケットの中に携帯電話が入っている。
さいわい、ポケットはチャック式ではなかったので音をたてずに取り出す事ができる。
ジョージの様子を伺いながら、ポケットの中から携帯電話を取り出した。
万が一、ジョージがこちらを見ても携帯電話がかくれるように視角になる方の股の横に置いた。
ジョージを気にしながら、片手で携帯を操作した。
電話はできない。
……メールで助けを求めよう…。
文章を作成した。
“助けて。
男にどこかに連れていか れてる。
見たら警察に通報して。 ”
宛先を指定するためにアドレス帳を開いた。
………パパ――……………………誰か友達――……………………………………………………………………………………。
携帯の電源を消した。