「正確に言うと、刑事ではありませんが」
日吉さんは片手をあげて、じぃちゃんに苦笑してみせる。
…が。
「はい…?」
「理解の遅い者にも、救いの手は差し伸べられるべきだ。よって、丁寧に説明してあげよう」
いちいち嫌味なヤツだな。
善意の押しつけは対人関係不調和音の第一歩だぞ。
「警察庁に置かれている法務省の内部部局のひとつで、警察庁刑事局捜査第二課。そこが僕の職場であり、大型詐欺などの知能犯の捜査をする所でもある」
…えらく難しい文字が大量に並んでますが…。
とりあえず、じぃちゃんが言ってたことが要約ってこと、になりそうだな。
で、じぃちゃんはそれに協力してる、と。
まぁ金持ちだから、だまして金を搾り取ろう、って輩には事欠かないとは思うけど。
考え込む俺に、日吉さんはさらなる衝撃の事実を告げた。
「ちなみに、僕の奥さんが御隠居の娘さんでね。その縁もあって御隠居に、詐欺摘発に協力してもらってるんだよ」
ほら、やっぱり金持ちに金の亡者は群がるって言うじゃないか、と日吉さんは言って、言って…。
ええっ?
「じ、じぃちゃん、八十過ぎだよな。娘さん、何才なわけ?」
「私が五十代後半で生まれた子だから、二十…七か八くらいかね?」
平然とした目の前の男二人。
コレは何か、驚く俺が間違ってんのか?