「も〜…っ、本当なんだからぁ!あたし本物の白虎と青竜をみたの!!」
「はいはい、姫のおおせの通りで…」
「愛、それ新しいSF小説のネタだろ? …ナイショでストーリー教えろよ。な?」
「だから何回も言ってんじゃない、事実だって…。
由紀恵も健次もひとの話ちゃんと聞きなさい!」
「じゃあ、質問イチ〜。
どっちがイケメンですか?」
「もう、青竜さん圧勝!
クールで素敵なの♪」
「それ、ぜってー妄想。
それとも、…フロイトだかユング謂うところの願望か?
何だよ、俺に言ってくれりゃ心行くまで触るぞ?」
「あんたってほんとに…」
「スケベってか? 男がお堅い奴ばっかなら、人類はとっくに絶滅の危機迎えてるだろーがよ、へん!」
「…やめた。
口じゃあんたに
敵わないもんね」
この、口の減らない中原健次と、ちょっと思考回路が謎めいた大橋由紀恵、それに私、島崎愛の三名は『オカルト研究会』なるものを立ち上げていた。
「要は動かぬ証拠ってやつですぅ。 百聞は一見にしかずともいう位ですから」
「ええ〜? 証拠って言われても……」
「やっぱ、捜査の基本は現場検証だろが。
また、その寝坊の虎に会えるかも知れねーぞ?」
「…健次もたまにはマトモな事いうのね。
あ、でも千年振りの寝坊らしいわよ?」
「千載一遇…。
愛さん、それって、…もしや運命の出逢いでは?」
「すっごい嫌…。
…相手によりけりね」
「とにかく行こうぜ。
愛、場所教えろ」
そんな訳で、白虎と遭遇した川沿いの土手に向かうことにした。
「えーっとねぇ、確かここの向こう側でお昼寝を…」
『んごお〜…、Zzz…』
「してんじゃん!!!」
くしくも、三人の声がみごとにハモっていた。