フォーリンラブ 4

るぅ  2007-02-13投稿
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低い声で言うと、男は蘭を軽く抱き寄せた。

細身だががっしりした胸元。大きな手のひら。

男に免疫がない蘭は、なかばぼんやりした頭で身を任せた。

「てめぇっ…。」

「やんのかよ。」

感情的では無いのにやけに威圧的な声。

見た目といい態度といい、明らかに喧嘩慣れしていそうだ。

「やめろよ、行こうぜ。」

逆上しまだつっかかろうとする男を、ツレが抑える。

いろいろ嫌な言葉を吐き捨てながら去っていく男達。

その後ろ姿を眺めていたら、上から深い嘆息が聞こえた。

「くだらねぇ。」

すっと肩から男の手が離れた瞬間、蘭はなんとも言えない気持ちになった。

歩きだそうとする男の背中へ、思わず声をかける。

「あっ…あのっっ!」

静かに男が振り向いた。

猫のように強く鋭い瞳が蘭へ向けられる。

「あのっ…あ…ありがとうございました!」

「別にあんたの為じゃないし。なんかあいつら調子乗ってたからからかっただけ。」

そっけなくそう言うと、また背を向けてしまう。

行ってしまう。

「あ…あの…待ってっ!」

自分でも驚くくらいの大声が出た。

慌てて口を塞ぎ下を向く。



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