あの時の私は、ただ一緒に話したかっただけだった。自分にも自信があったし、振られる事は無い…そう思って…。
拓也との出会いは必然だったと思っている。その日は学校で男友達の浩二と会う約束をしていた。借していたCDを返してもらう為だった。その隣りにいたのが彼、拓也だった。
「やっぱり俺はこの手の音楽は苦手だな。やっぱり、Hip Hop系じゃないと聞きたくねーわ。」
「そうかなぁ?あたしは大好きなんだけど…。なんで皆聴きたがらないんだろーなぁ。」
私は手で先ほど返してもらったCDを取り出し、隣りにいた無愛想に立っている彼に差し出して
「ねぇキミ、こんな音楽聴いてみない?」
「はぁ?拓也がこんな曲聴くわけねぇよ。それより今からヒマ?」
「浩二は黙っといて!」
いつもの様に、笑みを浮かべながら近付く。
「あっ、まだ自己紹介してなかったよね?浅倉優って言うんだ。」
「この曲…」
初めて拓也が口を開いた。
「俺大好きだけど。つーか、このアーティストのファンだし。」
「そうなんだ!あたしはJackって言う曲が好きなんだー。知ってる?」
「おい、拓也…。なぁ優?また今度話そうぜ。もうすぐ授業だろ?」