「うん、ぶっちゃけ。まぁまぁ、そんなに落ち込みなさんな」
…思い切り肯定してんじゃねぇか。
しかも、「ぶっちゃけ」って。
なんだか怒りを通り越した脱力感がドッときた。
「私のとこには昔から詐欺やら勧誘やらが多くてね。ま、有名税みたいに思ってたんだが」
…思ってただけで、実際に被害にはあってないんすね。
今更ながらに、じぃちゃんが、海千山千の元実業家、ということを思い出す。
「全部シャットアウトすることもできたんだが、それじゃ、つまらないだろう?ほら、彼らも一生懸命なわけだし」
つまらないのはじぃちゃんか。しかも一生懸命て。
「で、どうせ彼らを相手にするなら何か進展があったほうが、と思って話を警察庁にもちかけたんだ。金は戻ってこなくとも、暇つぶしにはなるし、悪事を働く人間は捕まるし」
「囮捜査ではない、と暗黙の了解はあるからね、一応」
と、日吉さん。
「趣味と実益を兼ねた一石二鳥さ」
ピースサインをするな。
しかも詐欺狩り?が趣味だなんて、悪趣味だ。
じぃちゃんはいつものにこにこ顔なのに。
なんだか、化けの皮がはがれた狐を見ている気分。
今まで俺は、じぃちゃんの何を見てきたんだろう。