3月13日 紅白戦
【2回表】
ブウォン!!
タクが素振りをするとベンチまでその音が聞こえる。
二、三度物凄い音でスイングをしたタクは右打席に入った。
4番対エース。藤城中では最もみものだろう…
『プレイ!』
今井先生が声をかけた。
天堂寺がゆっくり振りかぶり、投げた!
カキーン!!!!
タクの捉らえた打球はレフトフェンスにライナーで直撃した!!だが…
『ファール!』
スピンがかかり過ぎた打球は、わずかに左に切れたのだった。
驚いた表情を見せたショウは、その後ニヤッと笑った。
それを見たタクもまた笑った…
二球目
天堂寺が選択したのはフォークだった。
タクの振ったバットと、ショウが投げたボールの差は物凄く開いていた。
その差は天堂寺の投げるフォークボールというのがどれほど凄いかというのを物語っていた…
『バットとボール、すげぇ差あるぜぇ。』
ケイタが言った。
『タク!まず出ようぜ!』
アキが叫んだ。
俺も
『追い込まれてるぞ。くさいところはカットしろ〜!』
と叫んだ。
その後2つボールが続き、カウントは2-2の並行カウントとなった。
5球目。
タクはカーブを待っていた。
天堂寺、布川バッテリーもカーブ選択した。
カキーン!!!!
『いったぁ〜』
ケイタが叫ぶと
今度はライト三野の頭を超えて、打球はフェンス手前でワンバウドした。
ガシャ!
フェンスで打球の勢いが殺され、若干センターより転がった。
それを野原が拾い、セカンドの石橋に中継した。
タクは楽々二塁へ。
ツーベース!
タクは二塁上で小さくガッツポーズをした。
天堂寺は小さく溜息をついた。
ノーアウトランナー二塁。
続く5番は一年生スラッガー橘。右打ち。
天堂寺の真っ直ぐに慣れず、2球とも空振り。
あっという間に追い込まれた。
1球ボール球をはさみ、2-1からの4球目。
緩いカーブに橘のバットが泳いだ。
『ストライ〜ク!バッターアウト!』
今井先生が叫んだ。
1アウト2塁となって打席には不破が向かっていった。
今度はバッテリー同士の対戦となった。