大嫌い。本当に大嫌い。
その目も鼻も口も耳も髪も手も指も臭いもつま先も
全部。そうその存在そのものが大嫌い。
なのに、どうしてこんなに
苦しいくらい好きなんだろう。
>>絶対不滅マゾヒズム<<
遅い。
待ち合わせから30分はゆうにたっていた。
ローカル駅の改札は当たり前だが外にある。
こんな寒風ふきすさぶ中に彼女を待たせるバカが私の彼氏だ。
メールの返事もない。電話をしても電源がついていない。
電車が駅につくたびに乗り出して姿を探すが影すら見えない。
・・・・・・。更に15分後。
やっとワールドカップバカ代表が姿を現した。
「よっ」
よ?よ?よっ、てアンタ!
ゴメンとか待たせちゃったねとか何かおごるよとかそういうセリフは出てこないのかしらこのすっからかんの頭からは!
しかも発芽玄米みたいな寝癖ががっつりついてる。
まがりなりにもデートなのに。
1時間以上鏡の前で粘ったこの乙女心にどう落とし前をつけろと?
「・・・遅い」
最高潮に不機嫌なオーラを振りまいて言ったにもかかわらず、
「いやぁ、目覚まし壊れてたからよ」
とみえみえの嘘をつく。
「じゃあ連絡くらい入れてよ!」
「ばっかお前、電車で携帯なんて使ったら心臓悪い人が大変だろ?」
な、に、を
いい人ぶってるんだコイツは!!
普段は塵もそんなそぶりみせないくせに。
決めた。今日こそ絶対決めた。
――今日こそ、このバカと別れよう。