ロングコートに高いヒールのブーツ。
長くて艶っぽい髪を綺麗にまとめたその女は、後ろ姿でも美人だということがわかる。
「あんな感じかな。綺麗な大人の女っつーか。」
「え〜あんなの無理だよぉ。」
アキがそう呟いた時、その女が横を向いた。
「うわぁ、すごい綺麗な人だね。」
アキの言葉に答えようと口を開く………でも言葉が出てこない。
ユカリだ。
１週間ぶりだな。
いつものコートじゃないからわかんなかった。
なんか外で見ると雰囲気違うな……考えたら出逢ったクラブ以外、外で会ったことないんだ俺達。
いつも俺んちでヤルだけだったから。
「あ、彼氏かな。」
我に返って、アキの視線の先を見る。
長身で高そうなスーツを着込んだ男が、ゆっくり歩いてきた。
手を挙げる男に、ユカリが微笑む。
その笑顔は………
なんか、すごく大人だった。
「リョウ？」
「ちょっと……待ってて。」
不思議そうな顔のアキから離れ、俺は携帯を取り出した。
ショートカットキーを手慣れた動作で押し、男と向かい合うユカリを見つめる。
耳に流れる呼び出し音。
ユカリがコートのポケットから携帯を取り出した。
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