「エッッ！？」
私は耳を疑った。今彼の...マサの声が...。
「美咲！！」
たしかに聞こえた。波の音でよくは聞こえないが、確かに聞こえた。
「美咲！」
声の方に振り返った。そこには私の方に走って来る彼の姿が。
「マサ...？」
私は力が抜け、波が押し寄せる砂浜に座り込んだ。会いたくて仕方なかったマサがそこにいる。幻なのか、現実なのか...。
「何しよんな！！ビショビショやんか！！」
波につかる私を彼は抱き上げた。涙が溢れ、彼の顔が見えない。うれしくてたまらなかった。声にならないほどうれしかった。
「いけるか？お前足濡らしたらアカンだろ！！病院いくぞ！！抜糸もしてないのに。アホか！！」
そう言うと私を抱きかかえ走り出した。私は涙で溢れる目で必死で走る彼を見つめた。
道に出ると由梨恵達の姿が。
「ちょっと...。どしたん？美咲ビショビショやん！！」
「こいつアホやから海に入っとった。病院連れて行くわ。由梨恵、チャリンコかりるで！！」
私を自転車に乗せ病院まで走った。
診察室を出るとみんなが待っていた。医者にこっぴどく怒られ、抜糸も少し延期された事を報告すると由梨恵にも怒られた。カズやシンゴは笑ってばかり、マサは何も言わず黙っていた。そうだ、私は『話がある』とポケベルに入れていたんだった。
服を着替えるため私は家に帰った。そして家を出るとマサが一人で立っていた。
「美咲、俺も話したい事あるんや。」
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