母は小柄だ。
母は小太りだ。
母は短気だ。
母は短足だ。
でも、毎日笑顔を絶やさない。
そんな母、ぼくは気に入っている。
度々叱られはしたが、いつものことだとなかば聞き流していた。
中学に上がると、反抗期なるものが沸き上がり。
よけいと言うことを聞かなくなった。
帰りも遅くなり、友達と遊んでる方が楽しかった。母は少し淋しそうだ。
11月 3日
いつもの様に遊びに行き、いつもの様に遅くなり、いつもの様に家へつき、いつもの母はいなくなっていた。
机に書き置きが一つ。
『お母さんが倒れた、お前は今。どんな気持だ。』
父の字で、この言葉と病院の場所が書いてあった。
泣いていたのか、所々字がニジんでいた。
何もできなく、ただその書き置きを読み返していた。
病院へ行くことが申し訳なく感じた。
行っても何が出来るのか、どんな言葉を伝えられるのか、後悔しても償えるのか。
紙を握り締め、いるわけもない神に祈った。
都合がいいと思われても構わない。
母が助かるのならなんでも捧げると、自分を殴った。
朝になっていた。
朝日は何も知らず昇り、スズメは何も知らず鳴いた。
電話が鳴り、父から言われた。
「人間は無力だ、、。」
それだけを僕に伝え、電話は切れる。
その場にしゃがみ、ひたすら哭いた。
母は小柄だった。
母は小太りだった。
母は短気だった。
母は短足だった。
ごめんなさい。ごめんなさい。
バカな僕だけど産んでくれてありがとうございます。
また僕を叱ってくれますか?