ナイト・オン・ドラグーン【72】話『砂の村』

milk  2007-02-19投稿
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”砂の村”は森を抜けた先にあった。
しかし砂、という名前の割には村の周囲は岩山で囲まれている。

錆の町に似た構造だとアインは思った。

『ここが…砂の村…だ。』
リリーナが振り向きざまに言う。村の入口と思われるアーチをくぐる。

『オレハ、イリグチデ、マッテル』

そう言うとゴンザレスは肩に乗っているリリーナを降ろした。
無言のまま振り返り、入口へと向かう。
アインとリオはその後ろ姿を見返す。
『ゴンザレスはいつもあんな感じ…だ。』
疑問に思ったが、リリーナの言葉に消された。

『…あ』
何か思い出したようにリオはゴンザレスの後を追う。

『リオ?どこいくんだ?』

『ごめん、先に行っててあの人と話してくる』


『人捜しなら村の誰かに聞けば、わかるはず…』
リオの後ろ姿を見ながらリリーナが言った。
『ただでさえ訪問者が少ない村だ…から。』

『あっうん、ありがとう。でもここまででいいよ?』

アインがそう言うと、先を歩いていたリリーナが立ち止まった。

『あなたの眼…』

リリーナは振り向き、アインを見上げる。
『俺の眼?』



『嘘ついていなかっ…た。だから僕はあなたたちを信じた』

それだけ、とリリーナは小さくつぶやく。

『そうか。ありがとう、えっと…』

『リリーナ…』

『ありがとう。リリーナ、俺はアインだ、よろしくな』

アインは小さいリリーナに微笑む。
照れ臭いのかリリーナは俯いた。

『うん…よろしく…ね』

二人は村の最深部へと向かった。



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