みらくりゅ 1話

KMCN  2007-02-19投稿
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吉岡の朝はかならずシャワーで幕をあける。
友達の家に泊まる時はもちろん、寝坊して会社に間に合うかどうかまさにぎりぎりといった状況においても、彼女は頑としてその習慣をくずそうとはしない。
少しぬるめに設定して、眠気と一緒に前日にたまったココロの中のうざったい浮遊物を洗い流すのだ。
吉岡容子 21歳。可もなく不可もない京都の短大を卒業したものの、いっこうに就職が決まらず、気が付けば属に言うフリーターという今時な肩書きがいた二ついていた。
夢はあった。そう、ほんの何ヵ月か前までは自分のしたい仕事を手に入れようとする小生意気な自分が確かにいた。

でも・・・

「本当にしたい仕事っていったいなんなんだろう?」
デザイナーという、あの時めざしていたものは果たして本当にしたい仕事?

ちがう。。。普通に安月給でおじんの相手をさせられるOLというやつより、ただなんとなくお洒落な肩書きと、ジャニーズ系の彼氏をもつ幻想に憧れていただけだ。
そう悟った今の容子は、なんとなくだが今のフリーターという立場が妙に居心地がいい。
彼女のバイト先は伏見駅前のおしゃれなカフェ。仕事中の彼女はてきぱきと用事をこなし、後輩のバイトはもちろんじぶんより何ヵ月も先輩の四大生や時には社員にまで指示を出し、その的確さに誰一人不快な感情はもたずに彼女を信頼しきっているほどの存在になっている。

「社員にならないか?」
事あるごとに店長に声をかけられる事は快感ではあったが、容子にはそんな気はまったくなかった。
ただ、だからといって今でも本当にしたい仕事というものはには出会えてはいなかったのだが。。。

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