極道院を後にした俺たちは、一路東都(表の東京)を目指しひたすらに道を進んだ。
「ここからその東都までどれくらいなんだ?」
俺の問いに対しフロンは地図と睨めっこしながらこう答えた。
「2、3日で着くはずだよ。順調に行けばね」
2、3日……。結構あるな。
「ていう何で車とかの移動手段が無いんだよ?こっちは」
「ありますよ。表の乗り物の性能を遥かに凌駕する乗り物がたくさん」
「……なんでそういうの使わないんだよ?」
わざわざ歩く必要なんて無いんじゃないか?
「レンタル料かなり高いんですよああいうのって」
「って金の問題かよ!お前神様なんだろ!なんとかしろよ!」
「無理ですよ。それに神は世界に約3億人存在するんですよ!いちいち特別扱いしていたら世界が破綻しますよ!」
その台詞を聞き、俺は本当にここが人間の想像の世界なのか大変不安になった。
(だって金の事情とかリアルじゃない?)
「ほら!行きますよ一馬さん。日が暮れる前に今夜休む場所を確保しないと!」
俺の腕を引っ張りながらフロンは言った。
「え?その言い方ってまさか……」
「そうです。今夜は野宿です」
フロンはびしっと握り拳を振り上げつつ言った。
「……まじっすか」