『いたぞーっ！森の方だ！』
背後で自分を追ってくる者の叫び声が聞こえた。
心臓が一瞬、高鳴りさらに森の奥へと走る。
巨体を揺らし、どこか獣じみた動きでｺﾞﾝｻﾞﾚｽは必死で逃げた。
もう何時間ぐらい追われ続けているのだろう。
体力の消耗が激しい、息が上がっている。
『ｳｫｫｫ！』
雄叫びを上げながらそれでも走った。
人里に降りたのが迂闊だったと後悔した。
村に入るなり、村人達は自分を攻撃してきた。
そして、必ず自分の姿を見た者は口を揃えていうのだった。
バケモノ、と。
突然、視界が揺れた。
それと同時に背中に熱い衝撃。
遅れて聞こえる爆音
前のめりにｺﾞﾝｻﾞﾚｽは倒れた。
激痛。
体の自由が効かない。
そう、自分は撃たれたのだ。
『へへっ！命中♪仕留めたぜ』
撃った本人らしき人物の声が聞こえた。
『おお！ついに殺ったかバケモノめっ』
追っ手の者達が集結してきている。
自分は殺される、そうｺﾞﾝｻﾞﾚｽは覚悟した。
しかし、なぜなんだろう。
姿形が異なっているだけで怪物扱いされるのは…
一人が嫌で、人目に触れたかっただけなのに…
外見は化け物かもしれない…だが、同じ人間なのに。とｺﾞﾝｻﾞﾚｽは思った。
しかし。その意識も、もはや薄い。
倒れている自分の周りで村人達の声が聞こえるが、遠くなり、ただただ視界が白くなった。
（ｵﾚﾊ…ｼﾇﾉｶ…）
気がついたのは朝だった。
ｺﾞﾝｻﾞﾚｽは起き上がり辺りを見渡す。
自分が生きていることに驚いたが…
どうやら村人達は自分を殺したと勘違いしたとｺﾞﾝｻﾞﾚｽは悟った。
ｺﾞﾝｻﾞﾚｽの中でどす黒い何かが渦巻いていた。
それは自分を撃った村人達への報復。
もうこれ以上は解り合えないと思った。
ならば、この背中の傷を仕返ししてやるまでだ。
『人間…ｺﾛｽ！』
打ち震える怒りを表にし、ｺﾞﾝｻﾞﾚｽは村へと向かう。
『待って』
後ろで禀とした声が響く。
振り返ると小さな女の子がこちらを伺っていた。
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