[おぉ・・・戻ったか]
オジイがヨロヨロしながら俺に近寄ってきた
[大丈夫じゃったかな?クーロン君とやら]
俺かと思ったけどオジイは俺を素通りして後ろで立ってるクーロンに行った
クーロンはちょっと照れて笑ってやがる
[おーい、オジイ!俺の心配もしてくれんのかな]
ちょっと期待してオジイをチラ見
[いやはや・・・あの藪から生きて帰るとは・・感心ですじゃ]
聞いてない
完全無視
でも俺がいなかったらクーロン君は死んでたんじゃないかなぁ〜
とかゆったらまた殴られるから言わないけど
[やっぱ俺なんかど〜でもいいのか]
これも無視
しかも言ってみたら虚しい
認めちまったから言い訳のしようがねぇ
オヤジがいた頃だって俺のあだ名は【なまけもの】
道ですれ違うばばあとかにはよく言われた
オジイの剣の修行だってサボりまくってたし
家じゃあ寝てたからなぁ・・・
なによりオヤジと比べられんのが嫌だった
『お父さんに負けないようにがんばれ』
『似てるよね。』
『なんでキミはダメなんだ?』
あきた
それ聞き飽きたから
がんばれ?
何のためにがんばる
似てる?
どこがだ
お前はダメ?
もとからダメだし
キャラバンじゃあいっつも一人
友達は【なまけもの】とは付き合いたくないっつっていなくなった
オフクロは優しいかな
でもオヤジは俺の誕生日にさえ帰ってこない
そうゆう奴だ
考え出したらキリがなくなってくる
心の奥にしまってたなにかが動いて
自分の弱いところがズキズキ痛い
ダメだ
俺なんか・・・ーー
ポンっ
[え・・・]
自分の世界に誰かが入ってきた
[・・・・・・・]
そいつは喋らなかった、いや
そいつはもう喋れなかった
いつもみたいに微笑んで首を傾げるそいつ
[あぁ・・・・何だよクーロン]
オジイと話してたはずのクーロンがいた
やっぱりお前は優しすぎる
やっぱりお前は眩しすぎる
でもその分つらかったんだよな
悲しかったんだよな
ごめんな
これからは心配かけねぇように
ダメにならねぇように
がんばってみるから