『え?梨華、彼氏できたんだぁ〜。どんな人?どんな人?』
何気ないファミレスでのやりとり。
―友達にプリクラを見せられて私は、固まった。
いやいやいや、これはありえないだろう。うん、きっと他人の空似ってやつよ。と強気になってみたものの。そこに写っていたのはまぎれもない私の彼氏で。友達に悟られないように、「お似合いただね〜」といいつつも背中には嫌な汗。
早くその場を離れたくて、「今日は、バイトがあるんだ」とか適当に理由をつけて逃げるように去った。
アパートの部屋に帰り、少し落ち着いてから彼氏であろう人物に電話をかける。そしてさきほどの事を問いつめると…面倒臭い事は、ノーセンキューのノリでヤツは言い放った。「んじゃあさ、別れる?」
「は?そういう問題じゃな…「ツーツーツー…」」むなしくも聞こえてくる電子音。どうやら電話を切られたようだ。「はあー?!何様ですか!あの男!」私は、携帯を床に投げ付けようとした…が、やめた。携帯が壊れたら困るからだ。
あー、何か意外と冷静じゃん?こんな事考える余裕があるし。
そんな気持ちとは裏腹に目からは頼んでもいないのにボタボタとしょっぱい液体が流れ落ちる。
―いや、悲しくなんかない。あんな男。出会いはナンパだし。初めからろくでもないやつだって分かってたはずでしょ?てゆーか、情けないのかな、自分自身が。いくら淋しかったからってあんな男にひっかかって、捨てられて。
―情けない。
「ばかみたい」
何気なく放った一言。一人暮らしのこの部屋はシンとしていて、やけに自分の発した言葉が胸にささって痛かった。そんな悲しみにうちひしがれている時に、無遠慮に玄関のチャイムを鳴らしまくる輩がいた。
続く