受験も終わり、春の暖かさが戻りはじめている時。本命の高校の入学も決まった、蓮見由宇は昼間から炬燵で入ると暇を持て余していた。
ドンッドンッ
そこへ玄関の戸を叩く音。由宇は急いで玄関の方へと急いだ。この家はインターホンがなく、コンクリートでできているため、音も響き、ひび割れも度々。最近なんて下に住んでいたお婆さんが部屋で何週間も放置されていて遺体で見つかるなど、良くない事が立て続けに起こされたんじゃ、こっちはたまったもんじゃない。
「は〜い。今開けます。」
由宇が開けた先に立っていたのは見かけない小さな女の子。髪は長く、背は由宇の腰辺り。何処かの私立の幼稚園の制服であろうものを身につけている。しかし由宇は彼女を見た途端、足が竦んで動けなくなった。人でも有り得ない紅き眼。恐いが独特なオーラをはなっているそれは由宇にとっては不思議と恐怖心を抱かなかった。
「どうしたの?」
由宇は手を膝にやり、少々腰を曲げて彼女の目線と合わせた。すると彼女は由宇の手を握り、無表情のまま口を開いた。
「私と地獄にきて」