ヤス

チャーリー  2007-02-24投稿
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「ヤス」2…嵐
「見かけない小船だな…どこから流れて来たんだろう…誰も乗っていないようだ」
「賢三さんよ、あの船を曳いて帰ろうか」
「そうだな。じゃあ、船を廻すぞ」
「ほい来た」
二人は足を踏ん張り、「ろ」を漕いだ。小船が近づいて来た。
賢三は小船とぶつかる寸前で「ろ」を捻った。すると、船はスルスルと小船に横付けした。森一が七十を超えたとは思えない身軽さで小船に飛び乗った。手にはロープを持っている。
「よし!賢三さんよ、縄をトモに結んでくれ!」
「おいさ!」
賢三は森一が投げたロープをトモに繋ぐと自分も小船に飛び乗った。船のへさきに小箱がある。蓋がしてあり、横には小さな穴が幾つも開いていた。
「その箱には何が入っているのかね」
「さあな…開けてみるか」
「うん、爺さん。開けてみてくれ」
森一は腰を屈めると木箱の蓋を開けた。蓋を開けて腰を抜かした。「な、な、なんと…むごい事…」
「爺さん!一体、どうした!」
腰を抜かして木箱の中を凝視する森一の背中越しに、賢三が木箱を覗いた。そして、森一と同じく腰を抜かした。
「なんて事だ…」
木箱の中。柔らかい布に包まれた赤ん坊が入っていた。目を閉じ、じっとして動かない。






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