更正院での生活は、芝居や小説によく描かれるガサツで荒れたイメェジと違って、わりと、良いものだ。
一時間程の講義をのぞけば、一日の行動はほとんど自由。ある程度規則を守っていれば、罰則や独房行きなんてことはない。食事もこんな所のにしては美味しいし。
けど、流石に何年も居ると、毎日代わり映えしなくなって、つまらない。
楽しみといえば毎日3食の食事と、蔵書数50万を越えるという院内図書館の本を読みあさることだったが、最近では、好物であったはずのスパゲティ・ミートソォスでさえ飽き飽き。胃が拒否反応を起こしはじめているし、図書室の本は、読めない語(アルビナ語等)のものをのぞいては殆んど読破しつくしてしまった。
個室のラヂオは自由なチューニングが出来ないようセッティングされてあって、つまらない教育系の番組しか聞けない。
最早、楽しみといえば、ここから出ることしか無い。
退院まで、あと1年と少し。
ここ、ウーレン市の少年更正院に来て、もう8年にもなる。