Prolog…
光あるところ闇ありき…陽あるところ陰ありき…。人以上の能力と醜悪な姿を持つ生物、「妖」。彼らは互いの領域の不可侵を条件に人と協定を結んだ。彼らは今も自然の中で暮らしている…。
深夜の公園、昼の暖かさは無く夜の静寂だけがそこを支配していた。だがその静寂を破るようにして声が響いた。
「おい、天馬!本当にここで間違いないんだろうな?」
声の主は刀を携えた青年だった。しかし青年と呼ぶにはまだ顔が幼い様に見えた「ん?…ああ‥」
天馬と呼ばれた眼鏡の青年は眠そうな声でこたえた。
「オメーやる気あんのか?」
その時二人は足元にある気配を感じた。小さな影が二人の足元を通り過ぎたと同時にいくつもの影が津波のように大きく膨れ上がった。
「おいでなすったか!」
その影は蜘蛛の形をしていた。巨大な体躯に6つの目が刀を携えた青年を見下ろしていた。
「なんだ、こいつ?見たことねーな」
「勉強不足…マイナス1だな。幸司?」
眼鏡の青年…天馬が目前の巨大蜘蛛を睨んだ。
「データベースに参照…形状、及び活動習性により96%の確率で土蜘蛛であると仮定…」
「人喰ってデカくなったか…最近この界隈で起きてた失踪事件はコイツの仕業ってワケだ。」
土蜘蛛は巨体を走らせ二人の前に迫ったしかし二人は飛び上がり攻撃をかわした「羅喉!!」
幸司は叫びをあげ刀を引き抜き構えた。刀は黒い輝きと共に黒色の大剣へ変化した。
「人妖不可侵条約により曲妖(まがりあやかし)と認定…処分決行!」
幸司が大剣を上へ掲げたた。すると刀身部分が砕け光が伸びた。
「羅殺剣!!」
幸司は光の刃を土蜘蛛に叩きつけた。土蜘蛛は真っ二つに切り裂かれその反動で大地は砕け周りの遊具は吹き飛んだ。
「いっけね…やりすぎた…」
幸司は周りの風景を見ながら頭を掻いた「あ〜あ…また減給か…」
天馬の言葉に幸司は白くなった。
夜はまだ始まったばかりだった。