東都への旅、2日目。眠い。ひたすらに……。
「……お前あの状況のなかよく眠れたな……」
俺は隣を歩くお肌つるつる少女に尋ねた。
「自慢じゃないけど慣れてるから!」
微妙な膨らみの胸を強調しつつ誇らしげに言うフロン。
「確かに自慢にゃならねぇな……」
俺はあくびを噛み殺しつつ歩を進めた。
「もうすぐ町が見えてくるはずだよ」
フロンが道の先を指差しつつ言った。
「……おぉっ!本当だ!建物みたいなのが見える」
今日はまともな寝床にありつけ……!
「お金があれば宿に泊まれるんですが……」
腰に下げたがまぐちの中身を確認し、ため息と共にそんなことをぼそっと言うフロン。
「……」
だから本当に神様なのかこいつは?
「でもご安心を。あそこの町には親しい知り合いがいるのでその人の家に泊まらしていただきましょう」
フロンのその一言は俺に光明をもたらした。
「よっしゃ!そうなりゃ早いとこ行こうぜ!」
俺たちが着いた町は東都西の外れの町『アヤサ』であった。
東都から流れてくる物資の他都市への輸出で発展した町だとか。
「私の知り合いというのは町の隅の方に住むヤマキっていう大工さんと妹のヒナちゃんの兄妹なの」