3月13日 紅白戦
【5回表】
入念に打席前でスイングを済ませた俺は
さっきと同様、左打席に入った。
もちろん1打席目とは違い驚きはない。
天堂寺も俺を一人の打者として認めたらしく、不敵に笑った…
『最終回！声出してしまっていこう！！』
捕手の布川が白組全員に向けて叫んだ
『プレイ！』
今井先生が最終回のコールをした…
初球。
俺は初球のストレートを待っていた。
来た！！
天堂寺の渾身の真っ直ぐに俺は空振ってしまった…
1ﾅｯｼﾝｸﾞ。
ｱｷ『よく見ていけ〜』
ﾀｸ『変化球もあるぞ〜』
ﾘｭｳﾔ『まず出ろや〜』
紅組ベンチからはそれぞれの激が飛ぶ。
2球目。
鋭いフォークにまたも空振り…
2ﾅｯｼﾝｸﾞ。
しかし、天堂寺が俺を一打者として認めてくれて自らの得意球であるフォークを投げてくれたことは正直嬉しかった。
ｶｽﾞﾏ『広くいけ！』
ｷｮｳｽｹ『追い込まれてるぞ〜』
2ﾅｯｼﾝｸﾞからの3球目。
高めのストレートを見送った。
ﾊﾞﾝ！！
今井先生の顔を恐る恐る見ると…
『ﾎﾞｰﾙ！！』
助かった…
これで2-1｡
4球目は明らかにﾎﾞｰﾙのフォークがワンバウンド。
これで2-2｡
天堂寺が二度首を振った。
選択肢はみっつ。
緩いカーブ。
鋭いフォーク。
そして力のあるストレート。
俺は次はストレートが来るだろうと予想した。
実際、さっきの空振りで天堂寺はストレートで押せると思ったに違いない…
5球目。
振りかぶった天堂寺の姿が見えた。
来る！！
ﾋﾞｭﾝ！！
まっすぐだ！！
やや低め真ん中のストレートだろうか…
俺は思い切りバットを振り抜いた！！
カキーン！！！
打球はどこだ！？
『おぉ〜！！』
と歓声が聞こえたのと同時に打球が右中間を破ったのが見えた！！
俺は無我夢中で走った！！
1塁を蹴り、2塁に、ｻｰﾄﾞｺｰﾁｬｰが手を回したのを見て、俺は2塁も蹴った！！
3塁を落とす！！
俺の頭はそれだけだった…
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