「見て、拓海。」
そう言い彼女は手を空に掲げた。
「 なんだよ。」
俺は手の向こうに広がる空を見上げた。
「世界が二層になってるよ。」
「二層?」
なるほど彼女の言うとおり空は二層だった。
空は中程で水平に伸びる雲によって分けられ、天にはもう一つの世界があった。
「ねぇ拓海。あれをヘブンと呼ぼう。」
彼女は俺の手をとりながら言った。
俺はその手を握り返して答えた、
「ヘブン?お前の夢見ぶりには感服するよ…」
二人で手をつなぎ帰った、河川敷のこの土手に、今は一人で立っている。
彼女、
カノンが消えて一年が経った…