[あっ・・・・!!ダーリンっ!!]
はるか上空を凄い速さで滑るレインは、開けた場所に見慣れた人影を確認した
少しずつ・・・高度を落としてゆく
そして、クーロン達の頭上10メートルぐらいにまで降りてきた
そこまで来ると、抑えていた感情と言葉が封をきったようにこみ上げてくる
[だぁりっ・・・・・・う゛っ?!!!]
暑いような冷たいようなカンジがあり、あとから鋭い刺激を感じた
[っ・・・・・・ス・・・ン・・!!お前ぇっ]
レインはクーロンに飛びつくことなく草村に堕ちた
突っ伏したレインのそばに、不気味に微笑むスンがいた
[あの地上人に近づいちゃダメだよレインさん・・・・・]
先ほどの言葉をまた発する
攻撃することはできない、なぜか体に力が入らないのだ
レインはスンを睨みつけた
[な・・・・んで・・・・だぁりん・・・・・を]
ろれつも回らなくなってきたが、涙を浮かべてスンに訴える
[決まってるじゃないか、レインさんを守るためだよ。あの地上人はレインさんにとっては虫ケラなんだよ・・・・僕にとってもね]
ヤバい・・・
レインはこの場にたちこめるプレッシャーを察知した
スンは、クーロンを殺そうとしている
今まさに
自分の目の前で
[・・・・・・ゃめて・・・]
懇願した、しかしスンは微笑むだけだ
その笑みに恐怖をおぼえる
[大丈夫、奴が居なくなればレインさんの気持ちも変わるさ.....]
そう言い聞かせるスンの右手には...
ナイフ
スンは何もいわずに立ち上がると
音も立てずにクーロンの下に....
不幸なことに
クーロンの周りに人はいなかった
みな、集落に行ってしまったのだ
1人佇むクーロンは、抜けるような空を眺めて
悲しそうな表情を浮かべている
スンには気付いていないのか...?
[死ね...張九龍...]
ナイフが
ギラリと笑った