放課後
長い授業が、やっと終わりを告げた。
赤実『帰るぞ、聡』
聡『ちょっと待ってくれ。もうすぐ解けそうなんだ』
聡は何やら、『常識』と言う本の問題に向き合っていた。
赤実『一人でやってろ』
聡『えっと、クリスマスの前日をなんと言いますか…』
聡『バカかっての』
ヘラヘラ笑ってやがる、普通に見たら実に気持ちが悪い。
聡『平日…と』
救いようのないバカだった。
琴海『早く帰ったら?』
今まさに教室を出ようとしているところを呼び止められた。
いや止められてはいないんだが。
赤実『そんな口が悪かったか?』
琴海『人を選んでものを言うのよ』
まぁ初対面から気まずいからな。
無愛想な態度ばかりとってたし。
あらぶる感情を、押さえ込み、俺は教室をでた。
女の子『…あっ』
廊下で生徒と目が合った。
女の子『ご、ごめんなさいっ』
ずだだっ、と信じられない速度で逃げだした女の子。
姿は曲がり角に吸い込まれるように消えた。
赤実『…ちっ』
帰るか。
いつもの道まで帰ってきたときだった。
亜裕実『赤実君っ!』
突然後ろから声をかけられた。
赤実『亜裕実…』
亜裕実『亜裕実だよっ』
なんでお前がここにいるんだ?
赤実『お前、家はこっちじゃないだれ。どうした?』
亜裕実『赤実君に用事があったんだ。はい、これ』
そう言って手渡されたのは…数枚のプリントだった。
赤実『わざわざ届に?』
亜裕実『先生が、大切なものだからって』
随分ご苦労な奴だな。
亜裕実『今回の参観日は、赤実君のお母さん来るのかな?』
赤実『来ねぇよ』
亜裕実『そ、そっか…』
まぁ…あっちの方は喜んで見に行くだろうけどな。