真剣な彼の顔つきに私は嫌な予感がした。『やっぱり別れよう』と言われるのではないかと...。
そう思うと、心臓が破裂しそうなほど鼓動が激しくなった。息ができない...。
「美咲の話から聞きたいんやけど...。」
「...。」
彼の話を聞くのが怖くて、まともに顔も見れない。話せない。
「とりあえずどっか行こう。家の前やし...。」
彼に言われ、私はうつむいたまま彼の後ろを歩いた。
着いた場所はさっきまでいた海。彼との恋はここから始まった。そしてここで終わるんだと直感した。
「美咲...。先に謝っとく。返事返すん遅なってごめん。あのな...。」
「ええよ!!気にせんといて!!私全然気にしてないし。マサの話、だいたい予想はついとるから。私の事は全然気にせんでええから。何も言わんといて。そういう事で...帰るわ。みんなにもヨロシク言うといて。」
彼から別れを告げられるのが怖くて早口になる。何も聞きたくない。この場から早く立ち去りたい。今にも涙が溢れそうで、私は足早に立ち去ろうとした。
「アホか!!人の話最後まで聞けや!!“そういう事で”ってどういう事や!!意味分からんわ!!」
彼の怒りように私は体が硬直した。そのまま動く事もできない。
「あのなァ...。後ろ向いたままでかんまんから聞けや。お前からポケベルにメッセージ入ったから、学校からそのまま駅に走って電車乗ってここまで来たんや。駅着いてからお前のポケベル鳴らしたけど返事ないから、由梨恵のポケベル鳴らして...。んで、ここに来た。うれしかったんや。もうお前からの連絡はない思てたから...。ほなから返事も入れんと来た。お前に会いたかったんや!!」
「えッ...??何言うてんの??別れ話とちゃうん??」