「彼女さん、可愛いですね。」
クスクス笑う店員の言葉に、思わず顔が熱くなった。
完全にバカップルじゃん………マジダセぇ。
「……キャラメルで……。」
俺はかろうじてそれだけ言うと、急いで受け取って列から離れた。
少しして、チケットを手にしたユカリが歩いてくる。
「お待たせっ。」
言いながらポップコーンを一つ食べた。
途端にパァっと笑顔を浮かべる。
「おぃし〜。やっぱキャラメル最高!」
まるで花が咲いたみたいな笑顔……
「ガキかよ。」
歩きながら言うと、ユカリが隣から見上げてくる。
「リョウはキャラメル嫌い?」
「食ったことねぇ。激甘だろ?胸焼けしそう。」
「そんなことないわよ。はい。」
ユカリが俺の手元からまた1つつまんで、俺に差し出してくる。
「いらねぇ。」
「大丈夫。おぃしいから。」
「なんだそれ。」
しつこくポップコーンを俺の口元へ持ってくる。
マジでガキかよ…
俺は前を向いたまま軽く笑った。
「口移しなら食うけど?」
「もぅ………。」
ユカリが小さく嘆息してスッと手を引っ込める。
「リョウ。」
「あ?」
見下ろして、俺は思わず息をのんだ。
なにしてんだこいつっ!