ユカリが上目遣いで俺を見上げてくる。
ポップコーンをくわえた唇を、少し突き出して。
「バカじゃねぇ!?」
前を向いて歩き出した俺―――\r
別に照れてるとかじゃねぇ。
ただかっこわりぃからっ!
まだ周り人いるし………。
でもユカリは俺の二の腕に手を当て、軽く引っ張ってくる。
チラっと見下ろすと、まだくわえたまま真っ直ぐ見つめてきていた。
これ、俺が食うまでやめない気か……?
「………わぁったよ。」
大袈裟にため息をついて、俺はユカリの後頭部に手を添えた。
通り過ぎるやつらの視線を感じながら、顔を近づける。
ポップコーンをくわえとる瞬間、唇が触れた。
甘く柔らかい感触―――久しぶりだ。
ヤバい………止まらなくなる。
思わず添えた手でユカリの頭を引き寄せようとした時、周りの小さなざわめきが耳に入った。
慌てて顔を離し歩き出す。
マジ……恥ずかしい……。
人前でのキスなんて慣れてるけど、だいたいがクラブか夜の街だし―――こんな普通の場所ありえねぇだろ。
「おいしぃ?」
微笑み聞いてくるユカリ――普通の顔してるけど、ちょっと頬が赤い?
気づいた途端に、俺まで赤くなるのを感じる。
「あま……。」
呟くと、ユカリが声を上げて笑った。
その笑い声と、まだ熱い唇が―――俺を惑わせるんだ。