「浅岡…。」
本当に、泣きそうなくらい安心した。
浅岡が笑っていたから。
…頬に温かいものが触れる。
浅岡の手が、僕の頬をなでていた。
真っ直ぐに僕を見つめる黒い瞳に吸い寄せられるように、
僕は浅岡に
キスをした。
唇を重ねるだけの、軽いキス。
キスなんて、初めてじゃない。
それ以上も普通にした事がある。
だけど今、僕の心臓は、壊れそうなくらい高鳴っていた。自分の鼓動が聞こえて来る気がした。
どれくらい時間が経っただろう。
すごく長かったようで、一瞬のように短くも感じた。
ゆっくりと唇を放す。
「…浅岡…。」
唇に残る甘い感覚で、僕の頭は麻痺していた。
考えて、悩んでいた事は全部
消えた。
「好きだ。」
自然と言葉がこぼれた。
「君が…好きなんだ。」