午前11時。
ついに死刑執行の時がやってきた。
佐東晴義は死刑囚を死刑台に護送する為に死刑囚のいる独房へとやって来た。佐東は死刑囚を見た事はなかった。
ガチャ
佐東は独房の鍵を外して中に入った。
「・・・」
佐東は度肝を抜かれた。そこに居たのは髪が腰まで伸びている美しい少女だった。その美しさはなまめかしく鳥肌が立つほどだ。そして良く見るとこの少女、目が紫色をしている。それは4メートルほど離れて立っていた佐東にも判るぐらい濃い紫だった。
「・・・時間だぞ。」
少女の美しさに見惚れながらも佐東は護送を開始した。しかし同時にこんな考えが頭に浮かんだ。
こんな少女を俺達は今から死刑にするのか。
という考えだ。
もちろんこの少女に会う前からこの少年法を完全に無視した刑に疑問を持っていた。しかし彼女を見たことによりその考えは以前より倍増した。
そして佐東はこの少女は明らかに他の死刑囚とは違うオーラを発していた事に気が付いた。
普通は存在が押し潰れそうなくらい絶望し恐怖に震える者がほとんどだった。
しかし彼女は恐怖に震えるどころかとても堂々としていてとても死にに行く人間とは思えなかった。
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