「じゃあ、今日5時に東口でいいですか?」
「うん。じゃあ約束通り5万円持ってくからね。」
「それじゃ、また。」
私は今日、おじさんと援助交際をする。
私は今までも、体でお金を手にしてきた。
いろんなおじさんを見てきた。
しかし思いだすたびに鳥肌が立つ。
もう慣れっこだ。
最初のうちは気持ち悪さもあった。
でも人間、慣れれば何だってできる。
5時まで一時間。
何だか面倒くさくなってきた。
ドタキャンも考えた。
しかし今日はお金がなかった。
今日我慢して行けば、一気に5万円が手に入る。
「仕方ない、行くか…。」
私は結局行くことにした。
やっと1時間が過ぎ、駅の東口にやって来た。
おじさんは、すぐにわかった。
向こうもすぐわかったらしく、目が合った。
「スイマセン、待ちましたか?」
「いやいや、俺も今来たとこだから。あっ、名前何て言うの?」
「ユイです。」
「俺はハルオです。今日はひとつよろしくね。」
見た目は30代前半ぐらいといつもからしたら若めだった。
しかも、顔もそれほど悪くはない。
とにかく私たちはホテルへと向かった。
しかし私はこの日、お金がなくても行くのをやめるべきだったのである。
「ユイちゃん、入れてもいいかな…?」
「あっ…はっ…あぁ…」
私はイキそうになってしまっていた。
ハルオさんのが入ったとき、いつもの商売とは全然違うと思った。
何故…?
そして気がつくとイッていたのだった。
普通なら一回限りの関係も何故か途絶えるのが嫌だった。
私はふとこんな事を口に出した。
「また今度会ってください。」
私は恋をしたのかもしれない。
それからまた何度か会い、体だけの関係のまま時はたっていった。
こんな形で知り合った人を好きになりたいわけないのに…
私は心が不安定になり、自傷をはじめてしまった。
そのとき決めた。
もう売春はやめると。