〜プロローグ〜
たんぽぽの咲き乱れるこの丘に、また僕は戻ってきた。
何度も何度もサクラが散り、太陽が照りつけ、落ち葉が舞い、そして雪が降っては解けていった。
それでも僕は変わらずに春と共にこの地に戻ってくる―\r
親愛なる「モモ」へ
去年僕の子供が生まれました。最愛の妻と、二人の間に出来た子供には君と同じ「モモ」って名前を付けました。
大事なモノは常に移り変わる。
大好きだった君は、永遠はくれなかったけど。
大好きだった君は、過去のものになってしまったけど。
ここに来るといつだって、君の大好きだった南風が今も君の声でささやきます。
「もう一人じゃないよ」
「幸せになってね」
親愛なるモモ。
ここに来ればまた君に会えるんじゃないかなって、10年たった今も思い続けています。
さよならは言わなかった君だから、僕にしか見えない君だから。
またこの場所で手をつないで踊ろう。
南風の声を聴きながら―\r
つづく