綾香が指す方に龍雅は目をやった。
するとそこには不敵な笑みを浮かべる赤髪の女性が立っていた。
女性「久しぶりだね、龍雅」
龍雅も鼻で笑い返した。
龍雅「随分と出世したらしいじゃないか、シェイル」
シェイルと呼ばれた女性「あんた達と戦ってた頃を考えたら今の立場は嘘みたいだね。あたしも今や人材派遣ネットワークの人事部長補佐さ」
龍雅「その人事部長補佐がこんな所へ何の用だ?」
シェイルは龍雅に近づいて耳元で囁いた。
シェイル「実は特殊な依頼が舞い込んでてさ、『革命教団』の現状を解明しなければ行けないのさ」
龍雅も極力声を抑えて喋った。
龍雅「その依頼主は?」
シェイル「軍よ、さしずめグルドの掃討作戦のせいで調査する時間すらないのさ、軍の諜報能力も地に落ちたわね」
龍雅「やはりな、でなんで人材派遣会社に依頼を?」
シェイル「甘いわね龍雅、今の時代人材派遣ってのは定義がないのさ。あたしの会社は通常の業務委託から傭兵派遣、更に諜報活動まで割と手広くやってるわけ。それにあたしは人事部長補佐と言えども軍の大学を卒業したお陰で権限も割と多く持ってるしさ、こればっかりはゲンさんに感謝だね」
綾香が二人の会話に割って入って来た。
綾香「ねぇ!もう電車来るよ!」
龍雅「そぅか…シェイル。お前はこれからどうするんだ?」
シェイル「あたしもこれから会社に戻るからこれに乗るのさ。一時間前に一本逃してそれからずっと近辺で待ってたからね。あたしの『バロンドール』ならひとっ飛びも訳無いけどパーツの劣化が早くなるから嫌なんだよ」
そう行って三人は真紅のストライカーに目をやった。
バロンドールの足は鳥の足のような形をしており 三本の爪が目立つ。
そしてその後ろをけたたましいエンジン音と共にディーゼル機関車が通り過ぎて行き、やがて駅構内の遥か前方で停まった。
龍雅達は素早い作業でストライカーを貨車に載せて全体をワイヤーで固定し終えたと同時に列車の発車時刻となり、列車は発射した。
そしてその様子を編隊しながら上空から眺めていた集団がいた。
新たな危機が迫っていた。