自分でも何やってんだか…って確かに思う…
ハァハァ
見も知らぬ男に付いて行く私は本当に愚か…
ハァハァ
男の何の曲だかわからない鼻歌を聞きながら私は必死に歩いた
「ちょっ、ちょっと歩くの早過ぎ!」
私はうっすら汗までかいているとゆーのに、この男の涼しげな顔ったら…
「あ〜ごめんなぁ、僕大阪育ちやから」
【それは言葉でわかるって!ボケ!】
と、言いたいとこだったが
「早く歩くハァ…のと大阪育ちと…どう関係が?」
「大阪国民はみな時は金なり精神やから常に早歩きやねん(笑)エスカレーターでも常に歩いてるで」
【オイオイ…大阪国民て…他の大阪府民までそう決め付けてイイのか!?】
「もうチョィ頑張ってや」
男は私の手を握ると今度は私に合わせて歩きだした
男の体温が伝わってくる
【やっぱりイイ声…】
しばらくお互い無言で歩くと真っ黒な看板と真っ黒なドアのお店が見えてきた
男はドアの前で止まると
「歩き疲れた?ここやから入って」
男は意外にも重厚なドアを開きレディーファーストよろしくお辞儀をした
促されるまま私は店内へ
「いらっしゃい、今日は可愛らしい子と一緒なのね」
店内はどこかで見たような普通のbarだったが、バーテンは初めて見たと言ってイイくらいの美女だった
美女は私にカウンターに座るようにと手を差し出すと小さな手書きのメニューを私の手前に置いた
異国の血が流れているのか艶やかな黒い長い髪に薄いグレーの瞳を持った美女は女の私でもウットリしてしまうぐらい綺麗
【私もこの人みたいに綺麗だったら…】
「どれにする?」
男の言葉に急かされメニューを見る
・甘い囁き
・遥か彼方
・キッスは目にして
・パンダの足音
他etc…
天下の美女もメニューセンスは無いようだ
私は頭を抱えた