殺ってしまった。
俺は松坂を
殺してしまった。
「わあぁあぁぁ！！！！」
勇は絶望と悲しみの悲鳴をあげた。
つい数時間前知り合った仲とはいえ勇の命を二度も救ってくれた命の恩人だ。
そして松坂は最後の最期まで勇を守って死んだのだ。
現世ではイジメられそして死んでもなお殺し合いを強要され苦しみ、最期はオニとなり最期の時まで苦しみ続けた松坂はこのサバイバルからリタイアした。
『俺は人殺しだ・・・人として最低な行為をしたんだ・・・』
だが悪夢はこれでは終わらなかった。
オニの暫撃をガードした左腕の傷が突然治癒を始めた。
「はっ！？・・・嘘だろ・・・オイ！！何だよこれ！？」
そして傷口から徐徐に肌が変色を始める。
「やめろ・・・やめろぉ！！！なってたまるか！！！」
そして勇は選択を迫られた。
オニとして生きるかそれともリタイアするか。
最早左腕は痙攣し始め更に感覚も無くなっていた。このままでは30秒もたたないうちに勇はオニと化す。
「くそ・・・」
勇はナイフを手に取ったそして
「オニになってたまるかぁあぁぁ！！！」
ナイフを自分の腕に突き刺した。
この世のものとは思えない様な悲鳴が木霊する。
勇が敬に殺されたあの夜の様に。
勇はどうしても首を刺す事は出来なかった。
死の恐怖を拭え切れなかったからだ。
そして勇が選んだ道はオニ化した腕をナイフで切り離す事だった。
ナイフを腕に突き刺し左右に揺らす。
ゴリっという骨が切れる様な音と筋が切れる音。そして流れ出る血。
そして当然大量出血で腕を切り落とす前に全身の力が抜ける。
痛みも感じ無い・・・
なんだか気持ちよくなってきた・・・
俺は・・・し・・ぬ・・・
勇は気を失う間際何者かの声を聞いた。
「ｶﾞｷﾒ・・・ﾖｹｲﾅｺﾄｦﾔﾘﾔｶﾞｯﾃ・・・」
[1055] 
[0] 
[0]
