かごめかごめ?
妖庁?頭がおかしいのか、こいつらは。腹がたっていたせいか、俺はいつもより毒づいていた。
「信じられないのも無理はない。普通の人間には極秘の存在だからな」
俺の頭はうまく働かなかった。とにかくこいつら二人に対する怒りだけが先に来ていた。
「バカバカしい!なにが極秘だ!俺は忙しいんだ!お前たちに付き合ってる暇はない!」
「あんたになくても俺達にはある。まず落ち着け…」
そう云われると何故か心が落ち着き俺は席についた。
「この世界には人間の他にもう一種、高度な能力を持った生物がいる。それが妖だ」
眼鏡の男が云った。「そして、人と妖の間に結ばれた条約がある。それを人妖不可侵条約という。ここまではいいな」
にわかには信じがたいが俺は頷いた。
「それを取り締まる為に人と妖を監視そして処罰するのが俺達…妖庁だ」
「それが俺に何の用だ?」
「あんたがその条約を破ったから来たんだ」
俺はギョッとした。そんな奇妙な法律にふれた覚えなどなかった。
「あんたが破ったのは鬼交…つまり妖と交わったことだ」
「俺はそんな気味の悪いモノと交わった覚えはないぞ!」
「わかんないかな…あんたの奥さん…妖だよ」
眼鏡の言葉に俺は愕然とすると同時に再び激しい怒りに駆られた。
「なにをばかな…」「それに関しては俺達の責任だがな…妖庁もあんたの奥さんが妖って気付かなかったらしい」
俺は出来るだけ落ち着き眼鏡の言葉を聞いた。
「それだけなら二人を別れさせるぐらいですむが…問題は奥さんが身ごもったことだ…」
どういうことだ…?妻が身ごもったことに問題があるのか
「人と妖の混血児…災厄の象徴だが、だいたいが生まれて3日で死ぬ。あんた…喰われるかも…な…」
俺は怒りを我慢できなかった。気が付けばその二人に普段言わないような罵声を浴びせ、店を飛び出していた。なにが妖だ…冗談じゃない
つづく