真吾がその子にフラれたと聞いたのはその1ヵ月後。私は噂で知った。理由については好き勝手言われていたけど、私はそんなのどうでもよかった。真吾が傷付いたんだという事実が辛かった。めったに心を開かない真吾が、きっと特別に接していたんだろうな…どんなに今辛いんだろう…私はそれを考えるだけで、胸が苦しいぐらいにしめつけられた。真吾の様子は…。私は真吾をぬすみ見した。笑っていた。まるであの子と付き合う前と全く同じように…。周りの子が、『なんだけっこう平気そうじゃん。真吾〜』なんて駆け寄って行ったりしてたけど、私は動けなかった。放課後に、
真吾『あみ!もう知ってると思うけど…フラれちゃいました〜!!はははっ今までのバチが当たったかな!笑』
私はもう限界だった。涙が止まらなかった。
私「何でそうやって無理して笑うの!?そんなのしたら余計辛いじゃん!余計に傷が残るだけじゃん!今はいくらでも泣いたらいいんだよ…?あたし友達でしょ?!泣きたい時に頼れない友達なんて違うでしょ!!」
私は慰めるどころか怒っていた。真吾は唖然としていた。そりゃそうだよ。真吾の前のあたしはいつでも〈落ち着いた大人キャラ〉だったんだから。
真吾『ばーか!人前で泣けるかよ!でも…1年に1回ぐらいならいっかな〜笑』
笑いながら真吾は声が震えていた。あぁこの人の傍にずっといたい。確かに愛ってゆうものを真吾に対して感じたんだ。
その日、一緒に帰りながら真吾はたくさん謝って、たくさんありがとうって言った。真吾らしくなくて、私は終始笑っていた。この瞬間に真吾の傍にいれてよかった、と安心していた。そしてその日、私は決めたんだ。真吾が完全に立ち直った時に、告白しようって。
それから真吾は今まで通りに生活していた。また部活バカになっていたし、冗談めかして『もう女なんていらね〜ッ』って叫んでいた。私は一つ真吾に近付けた気がしていて、幸せだった。