かごめかごめ?
その夜俺は素早く仕事をこなし家に帰った。もちろん妻と子どもの為だ。昼間の二人のことは気になったが…家に帰り妻の顔をみればすぐに忘れた。やはり俺は幸せだ。
今日も仕事頑張ってきたよ、もう少しで昇進もできるだろう…俺なら大丈夫さ、君と子どもの為にも頑張らなきゃ…
俺は妻に話しかけた彼女は虚ろな目でこちらを見ていた。妊娠してからずっとそうだ。だがそれがどうした。俺は彼女を愛している…。俺は妻の大きくなった腹に耳を当てた、俺の耳に赤ん坊の鼓動が聞こえてくる…おかしい…鼓動がどんどん大きくなってくる見ると妻の顔が苦しそうに歪んでいる…まさか…生まれる…?ばかな…まだ臨月じゃない…俺は慌て病院へ連絡しようと電話に向かった。
「あひ…」
不意に奇妙な音がした。俺は後ろを振り返り妻をみた。彼女の腹は縦にばっくりと裂かれ、床に血と羊液が混じり広がっていた。俺は気を失いそうになりしゃがみ込んだ。彼女の腹から異形の姿をした巨大なモノがのっそりと這い出てこちらに近づいてきた。…俺にはわかる。この子は俺達の子供だ!
「さぁ、おいで…パパだよ!」
「パパ…」
その子は俺に近づき俺を抱き上げた。
「ボク…オナカスイタ…オネガイ…パパヲタベサセテ…」
「ああ…いいよ」
自分でも驚いたが恐怖はなかった。その子は俺の足を喰いちぎった。痛みはない。さらに口は進み、腕…腹…骨を貪られる感触が伝わる。胸を喰い破り吹き出た血をすすっていた。…薄れていく意識の中で俺は一つ重大な事に気がついた…俺が喰われたら誰がこの子に名前をつけるんだ?
体を綺麗に喰い尽くされ頭だけになった俺にあの歌が聞こえてきた…。
かーごめかごめ、かーごのなーかのとーりはいついつでやるよあけのばんにつーるとかーめがすーべった……
うしろのしょーめんだぁれ…
かごめかごめ 終