勇は気が付くと全裸で薄暗い水の中に立っていた。そして水の中にいるのにも関わらず何故か息をする事が出来た。
そして勇は奥にいる得体の知れない『あるモノ』に気が付いた。
その『あるモノは』紅い眼光を光らせてこっちをじっと見ている。
そして『あるモノ』は勇に話かけた。
「マサカオ前ノ様ナガキ二殺サレルナンテナ・・・運ノ良イ奴メ。」
「お前・・・もしかしてさっき俺達を襲ったオニなのか？」
「御名答。俺ハサッキオマエ二殺サレタオニダ。」
「で、オニが俺に何の用だ？体を乗っ取りにでも来たのか。」
「マァ俺モソウシタイ所ダガオレハオ前ノ体ヲ100％支配スルコトハデキナイ。オ前ガ全身二俺ノ『毒』ガ広ガルマル前二、オ前ハ腕ヲ刺シテ毒抜キヲシタセイデナ。」
「じゃあ俺はオニにはならないって事か？」
「イヤ、違ウ。確カニ完全ナオニ二ナル事ハ無ガ、オ前ノ左腕ト身体能力ハオニ化スル。ソシテソノ能力ノ代償トシテオ前ハ血ヲ飲マナケレバ生キテイケナイ体二ナル。」
「血を飲む？オニって人の肉を食べるんじゃ無いのか？」
「ヒトノ肉ヲ食ベルノハアゴノ力（ちから）ガ強イオニダケダ。オレハアゴ力ガ強ク無イカラ生キ血ヲ吸ウタイプダ。」
「じゃあ俺も必然的にそうなるって事か。」
勇は少し安心した。さすがに人肉を食う気にはならない。
「そういえばオニの血を飲む事は出来るのか？」
「サアナ。オニノ血何て飲ンダ事ナンテ無イカラナ。アト質問ハコレデ終リダ。」
そう言うとオニは黒い霧状の物体となり勇の腕に巻き付いた。そしてその瞬間勇の左腕に激痛が走った。
「痛っ・・・何だよコレ・・・」
そして勇は薄れゆく意識の中、自分の左腕がオニ化してゆく様子を見た。
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