淡い色合いの季節になると、思い出す…
あの大事な時に、貴方と出会って、過ごした日々…
今私があるのは、貴方がいたから
だからもしまた、会えたらちゃんと伝えよう
「ありがとう、そして…」
―2年前―\r
「だから?何でわからないかなぁ?」
「わからん」
夜中の3時、都内にある事務所に向かう車内
今年もあとわずかとなった2000年の11月。
高校2年の冬に進路をきめかねていた私が、街中で見た、ひとつのディスプレイ、それがきっかけで入ったこの世界
「わからんって、まだ物造ってないんだよ!クリスマスのディスプレイなんだから、クライアントがツリーとか言ってくるのは、想定範囲内でしょ」
この時季のお決まりディスプレイをクライアントから発注を受けた私、草薙ゆなは、これから1番大変な作業、つまり…
「違う、お前の考えてることが、わからん」
「はぁ??」
なかなか、会話が通じないチーフ仲澤亮を、説得しなくてはならない
(てゆーか、あたしはあんたの考えてることが、わかんないてーの?)