私はﾊﾞｶだね。１度傷付くことから逃げてから、本当の自分を捨ててから、一体何を手にできたんだろう。どれだけのものを失ったんだろう。あの時、真吾に彼女ができたと聞いた時、事実を確認すべきだった、ちゃんと向き合うべきだったんだ。あれ以上傷付きたくないと思った。もしも真実で倍に傷付くことが怖かった。そんなことならあのまま終わらせたかった。
竜に嘘をつかないで真吾のことも全部話すべきだったんだ。竜ならきっと分かってくれたのに。
後悔は数えきれない。でももう戻らない。戻ったところで実現できるかわからない。今のあたしにできること、この現実を受け止めることだけだね。そしてもう一度、自分に正直になろう。
その前に、私は竜にありがとうって何回も何回も繰り返し言った。私泣いてしまった。絶対竜の優しさ無駄にしないから、もう一度私をやり直すから、そう言った時、竜が抱きしめてくれた。『あみならできるから。お互い幸せになろう。』その言葉を聞いて、何かがスーッと消えた気がした。今思うとそれは、自分自身でつけけていた傷痕だったんだね。
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