そして私は、雅人の家を飛び出した。たくさんの荷物も置きっぱなし…
「後から取りにくればいいよね…」
外は、雪で真っ白で白い息が出る…行く所はないけど、とりあえず真冬の街中を歩いた。
「寒ッ!!」
私は寒さしのぎにバスターミナルへ入った。
これからどうしよう…
窓の外を見ると学生達やカップルが仲良く楽しそうに歩いている。
私は冷え切った体を丸めていた…
「ボン!!」
「??」
外から窓に、誰かが雪玉を投げた跡がある。
「何?嫌がらせ!?」
少しイライラしながら私は体を丸めて目を閉じた。
「ボン!」
「また?!?!」
窓を見ると、それは中学、高校が一緒だった後輩だった。
名前は「康(こう)」
私の一つ下の後輩で、私の同級生の弟で、何回か話をしたことがある。
康は、入口から私に向かって歩いてきた。
「こんな所で何してるの?」
康とは高校を中退する前に会ったっきりで、今の私の姿を見て少し驚いていた。
「……康こそ何してるの?」
「奈美さん、学校辞めたんでしょ? …実は俺も辞めたんだ。」
少しためらって私に話した。
「そうなんだ。アンタはいつか辞めると思ってた。。」
私は笑って康に言った。
「ねぇ、奈美さん、今日暇だったら家に遊びにおいでよ。」
私は、康に対して何も興味はないけど行く所がない。少しは暇潰しになるかな…
「うん、いいよ。」
私は笑顔で返事をした。
それから寒い外を二人で歩いた。今までの事や家出の事を康に話しながら。。。康は、黙って話を聞いてくれていた。
そうしてるうちに、康の家に着いた。
「親いるけど気にしないで?」
「え?!……うん」
とりあえず、親には挨拶しておこう…
「お邪魔します…」
「………はい」
見た目とても恐そうなお母さんだった。
康の部屋に入って、温かい物を飲みながら色々な話しをした。
私は何故か、康に心を許して、孤独な事や今までの事を泣きながら話していた……。
自分でもわからない。でも私は確かに寂しくて、孤独で康に助けを求めていたのかもしれない。