特別綺麗でも、可愛いでもない私は人並みの幸せと結婚を求めていた。
昔から結婚願望が強く、23歳で結婚する事を目標として、実際にするつもりでもあった。
そんな私が、その目標の歳から、11年経っても未だ一人でいる。バツもついていないし、今はカレシもいない。今の私は負け犬と呼ぶのかもしれない…。
少し前に男友達に言われた一言。その当時付き合っていたカレシと別れ、心身共に疲れきり、弱っていた私は親元を離れ一人暮らしをしていた。全てにおいてボロボロだったのもあり、親の言葉に甘え、十数年ぶりに実家に引き上げる事を決意した。
「そんなのを負け犬と言うんだぞ。」
確かにそうかもしれない。世間に負け、男に負け、尾を垂らして戻って来たのだろう。
でも、負け犬とは言わせない。私は私の信念を貫き、一人でいるのだから。結婚の話しも、カレシもそれなりにあった。決してモテないとか、イケてない女ではない。
何かを我慢してとか、犠牲にしてまで結婚したいとは思わなかっただけである。ただ、臆病で自分が1番可愛い結果が今の私なのだろう。
仕事が好きとか、生き甲斐に思うほど、私は仕事のできる女でも仕事に生きる女でもない。今までの仕事は生きるため、生活するためのものでしかなかった。
親元を離れ、短大を卒業してからすぐにした仕事は、団体職員の臨時職員だ。同じような仕事を5年程してきた。仕事に対して責任もない代わりに給料も安い。ご気楽極楽が、その当時の私のモットーだった。
すぐに結婚するつもりもあり、仕事は腰掛け程度にしか思っていなかったのだ。臨時職員は30前の女の人が多々いた。二十歳の私から見て、30近くの女の人が結婚もせずに働いているのを、少々軽蔑の目で見ていた。
「その歳で結婚もしないで…私は絶対にそうはならない。」
そう心で思っていた。
今思うのは、誰にも縛られずに、自由に使える時間と自由に使えるお金がある。それも幸せなのだろうと感じる。いや、思おうとしているのだろう。
それでも、男から声もかかり口説かれたりもするうちは、私の中の華が咲いているのだろう。
私を理解し、受け入れてくれる人が現れるまで、私は妥協せずに華が咲きつづけるまで走り続けるだろう。