「やっぱ、今日はちょっと・・・。」
「なんで?空いてるって言ってたじゃない。ドレスないんだったらうちに来なよ!貸すから。しかも、今日はあのカメラマンの吉永さんも来るんだって!緑、好きでしょ?」
吉永武人。32歳。カメラマンとして世界中で活躍している人。私の趣味がカメラな事もあって彼のことはよく知っている。むしろ、憧れの人。彼の写真は繊細で透き通るようで、どこか哀しい。その綺麗だけど壊れそうな脆さに惹かれている。
家にひとりでいても結局考えるのはあの人のこと。
だったらいっそのこと賑やかなところに行ったほうが、気が休まるかもしれない。
「うん、わかった。行くよ。小百合のドレス借りてもいいかなぁ。」
「もちろん!」
小百合の満面の笑みがこぼれる。
彼女は女の私から見ても本当に可愛い。内面も素直で甘えん坊で、ほっとけなくなる。私とは正反対だけど、なぜか気が合って高校の時から一緒にいる。
「じゃあ、6時にうちに来てね!待ってるから。」
「わかった。じゃあ、また後でね。」
「はぁい。ばいばい♪」