もとかれ (6)

ココロ  2007-03-13投稿
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「母さん、奈美を家においてくれないか?」

康は、お母さんに言っていた。
その後の話は聞こえなくて、私にはわからなかった。
康…私の事、頼んでくれてるんだ……。
嬉しくて、でも申し訳なくて少し涙が出た。
しばらくすると、康が部屋に戻ってきた。

「あっ、起きたんだね。具合はどう?」

「う、うん。さっきよりは楽かな…」

「そっか。なら良かったよ。」

康の笑顔が愛しい。
さっきの事は、私は知らないフリをした。

「トントン」

部屋のノックがして、康のお母さんの声がした。

「奈美ちゃん? 少しだけお話できないかな?」

「は、はい……」

さっきの話をされるのかと、私はドキドキしていた。
お母さんとまともに話すのは初めてだし、恐そうなイメージ…

「奈美ちゃん、熱あるんだってね。 大丈夫?」

「ハイ、少し横になったら楽になりました…」

康は、黙っていた。

「奈美ちゃん、家出してるんだってね。 さっき、康から聞いたわ。」

やっぱり、その話かぁ……

「家にいるのはいいけど、お母さんやお父さんと連絡は取っているの?」

「……」

私は黙ってしまった。

「落ち着いたら一度、連絡いれなさいね。」

康のお母さんは、そう言って部屋から出て行った。
私にとって、すごく予想外な話だった。 普通は、帰りなさいって言われるハズだから。

「母さん、ここにいていいって。」

黙っていた康が私を見て言った。

「本当にいいのかな……」

でもスゴク嬉しかった。
とりあえず働いて、少しでもお金を入れないと…。

今日から、康うちでの生活がスタートした。

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