「ま、そんだけの話」
言って、またヘラヘラと笑った。
しばらく落ちる沈黙。
ふと、何故か、笑顔が出た。
「へぇ、だから?」
「・・・何が?」
何が、ってさ。
「あんたがワガママで自分勝手で人のこと考えないで突っ走るのは、そのおばあちゃんが自分に素直に生きろって言ったから?」
「え」
ちょっといい気味。面食らった顔してる。
「私がこーんなにあんたのせいで苦労してるのは、そのおばあちゃんのせいなの?」
「ち、違ぇよ。ってかワガママって」
「気づいてないの?重症どころの話じゃないわね。ホント、私あんたのそういう所、大嫌い!!」
嫌い。
あんたなんか。
あんたなんか。
あんたなんか。
「あのなぁ!!」
ホコリが視界を灰色に染める。勢いよくたったあんたは、すごい形相で私を睨みつけてくる。
「俺のことは何言ってもいいけどな、ばあちゃんのことは―\r
「だから、」
あんたとは、別れたい。
そう、言おうとしたはずなのに、
「あんたのおばあちゃんには、感謝しなきゃね」
腹が立つけど、悔しすぎるけど、嫌いだけど
私が本当に好きなのは、こんな傍若無人な
「今のあんた、
おばあちゃんがいたから、いるんだもんね」
結局これは、惚れた弱みなのかもしれない。
なぜだか分からないけど
嫌い以上に、好きだから。