目が覚めて、窓を開けると空は灰色だった。今にも雨が降りそうな。こんな憂鬱とも思える日に、僕は君に出会った。
今日は高校の入学式。新しい制服に袖を通して、玄関へ向かう。靴を履いて、ドアノブを握った。ふと鏡をみて、僕は少し照れくさくなった。今日から高校生。鏡をみながら、何回か髪に指を通し、玄関を出た。
4月ともいうのに、風は少し冷たかった。空は相変わらず暗い。僕は不安と期待の中、高校へ向かい歩きだした。家から学校までは歩いて10分弱くらい。その間にも同じ制服をきた生徒たちがちらほら歩いている。僕の通うことになる高校は、生徒と保護者は別々の時間に集まることになっている。母と歩くなんて、なんか恥ずかしいから僕には都合が良かった。と考えながら歩いているうちに、あっという間に学校に着いた。緊張のせいかちょっと足が止まったが、そんな感情を振り切るように一目散に玄関を目指した。玄関脇には桜の木がたくさん花を咲かせていた。その枝々の間から少し陽が差してきていた。
かばんから上靴を取り出し履きかえる。僕のクラスは1年C組。教室に入ると見慣れない顔ばかり。黒板には担任の先生と思われる名前…杉島さくら。