桜が散る季節。私はいつも公園の一本の木の下にいる。
人との出会いを求めているわけじゃない。ただその場所に佇んでいたいだけ
町中じゃなくて公園だから良い。町中は私の居場所じゃない気がする
「お前、どうしてずっとそこにいるんだよ」
誰よって言いたい気持ちだけど言葉が出ない。無言のまま場所を移動した
「待てよ、何で答えないんだよ」
腕を強く握られた。ふりほどいて走って家に帰った
今日も桜の木の下。昨日の人来なければいいけど……
「桜、綺麗だな」
昨日と同じ声だ。辺りを見回したがどこにも居ない。場所をベンチに移した。
すると昨日の人が横に座った。私はなるべく離れた。
「昨日はごめん、驚かせる気は無かったんだ。それにしても桜、綺麗だな」
「…うん…」
「この桜が散ったら付き合ってくれないか?会って早々悪い印象を与えた俺で良かったらだけど…」
思えば彼は毎日公園の外にいた。桜も見ていたが毎日来る彼も見ていた。後ろ姿や横姿がとても似ている
「…こっちこそ…アタシで良かったら付き合って…ください」
涙がこぼれた。桜がほんのり淡く見えた。桜が散って…新しい春を迎えます。
霞桜。それは悲しみと嬉しさの桜です